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理事長メッセージ

理事長 宮﨑 信義
 久山療育園重症児者医療療育センター(以下「久山療育園」「センター」と略)は1976年に開設され創立47年周年を迎えました。創設期から医療福祉の建設期、そして充実期へと向かいながらその歩みを省み、思いを新たにして創立50周年に向けての歩みを踏み出そうとしています。
 これまでの歴史を振り返ると「設立理念」にありますように、収容型の施設にではなく出入り自由の世に開かれた施設、福祉社会づくりの拠点として、1990年に全国に先駆けて重症心身障害児通園モデル事業(全国で5施設)に参加し、また2015年には「在宅支援センタ
理事長 宮﨑 信義
ー」(在宅支援棟及びグループホーム「重症者ホームひさやま」)を開設致しました。2020年初頭から続く新型コロナウイルス感染症のパンデミックに対しても真摯に対峙して参りました。
 これまで設立準備の時から設立以後も大切にされてきた設立理念の再吟味と、これまでの47年間共にいて下さった主の導きや職員・保護者会、多くの支援者(「ミットレーベンネットワーク」「ボランティア会」と地域の方々)に感謝しつつ、今後も「重症児(者)と共に」医療・療育・福祉事業を進めていければ幸いです。初めに、「重症児(者)と共に」を合言葉にして、なすべきことと次のように考えました。

設立理念に従って
 新約聖書(新共同訳)コリントの信徒への手紙二 4章18節の「わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。」が久山療育園の創立聖句です。開設当初から掲げられてきた設立理念も変えることなく、暗唱しています。私は毎年の年度目標や開園祭のテーマを考える時には聖書を基盤とした「設立理念」に照らして年度目標を掲げようと思います。そのたびごとに、設立後47年を経ても、いつも新しさと支えられていることを思い起こします。以下に、その理念に応えるあり方を考察致します。
①「設立の目的」から
 「重症心身障害児に愛の手を」から「重症児者と共に」在宅及び入所重症児者のニーズに聴く診療計画・個別支援計画が起こされ実践に務めます。また、「重症児が社会の片隅に収容されて生きるのではなく、むしろ地域の中心に位置付けられることを願う」ことから2009年度から計画されていた「在宅支援プロジェクト」の実現の結果、「在宅支援センター」の建設・開設(2015年7月)が実施され、豊かな生活空間(グループホーム「重症者ホームひさやま」)とセンターによる医療支援が行われています。「久山療育園は単なる収容施設ではなく、新しい福祉社会(福祉共同体)づくりの拠点である」と示された理念に導かれ、広く地域福祉に働く「在宅支援棟」も機能しています。このように「在宅支援センター」の働きから、福祉共同体の実現、地域医療連携へと歩を進めています。
②「運営基本方針」から
 「久山療育園はキリストの福音を土台として運営されなければならない」という理念から、ミットレーベンネットワーク・諸教会及び保護者会との協働によって園の方向が示され維持されています。
③「療育基本方針」から
 「久山療育園は、病院であり学校であり家庭である。われわれは対象者を技術論的にではなく、全人的にとらえる。そのために、それぞれ最善の職際的協力を進めることによって、その専門的領域の働きを全うしなければならない」という言葉から、「久山療育園の療育」の再確認と医療マインドに基づく生命の尊厳を支え、QOL(生活の質・生命の質・人生の質)を重視しています。

重症心身障害施設の役割と医療福祉のこれから
 2019年6月17日に第三代理事長を拝命し、後任のセンター長には国立病院機構「福岡病院」院長の岩永知秋先生をお迎え致しました。2019年末には新型コロナウイルス感染症の発生とパンデミック(世界的蔓延)が始まり、重症心身障害児(者)とご家族、そして共に在りお支えする役割を担う私たちの感染対策を継続しています。感染対策に対しても、岩永知秋センター長は医師会役員として、最新の情報と対策を提供しています。
 年間事業計画でも、「重症児(者)と共に歩む人々の健康と生き甲斐を求めて」と健康と豊かな生活が守られることに日々留意しています。行政からもBCP(事業継続計画)を2024年3月までに策定することが義務化されています。その主眼は、大地震(震度5強)に対する防災実施計画(防災設備、避難経路・避難所)及び新型コロナウイルス等の感染対策で構成されると思われます。
 しかし、設立理念に立つ事業進捗状況の評価と事業の向上を目指し、新たな将来計画の策定に努めることに変わりはありません。これまでも支援して下さったミットレーベンネットワークやボランティアの皆様、保護者会、地域や行政と連携して重症心身障害施設の役割を果たして参りたいと思います。